家数やかず)” の例文
旧字:家數
「広いようで狭いというのがこの土地だが、それでも町の長さは二十八丁あって、家数やかずは三千からある。さあ、ここらで泊るとやらかそう」
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
私は一人の蝋燭造ろうそくつくりを覚えている。その町は海に近い、北国ほっこくの寂しい町である。町は古い家ばかりで、いずれも押し潰されたように軒の低い出入の乱れた家数やかずの七八十戸もある灰色の町である。
蝋人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なれど此の高岡は家数やかずも八千軒もある処で、良い船着ふなつきとこじゃが、けれども江戸御府内にいた者は何処どこへ行っても自由の足りぬものじゃ、さぞ不自由は察しますぞよ……お梅はんわしをお前忘れたかえ
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)