定跡じょうせき)” の例文
朝鮮将棋大会で優勝した人など、まだ三十歳を出たばかりであるが、この人など素人とはいえ熱心に定跡じょうせきを学んでいる風がある。
淡紫裳 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
あっしあ加州の御客に聞いておぼえましたがネ、西の人はかんがえがこまかい。それが定跡じょうせきです。
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
これが定跡じょうせきだ。誰がさしてもこうだ。名人がさしてもヘボがさしても、この二手しかない。端の歩を突くのは手のない時か、序盤の駒組が一応完成しかけた時か、相手の手をうかがう時である。
可能性の文学 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「見給え支倉君、これも、今までの定跡じょうせき集にはなかったことだよ」
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
そこで砲手は人情を出してはいけない。続いてズドンと雄に一発喰わせる。まず、雌を撃ちとって置けば、一漁に二頭を獲るのは定跡じょうせきとなっている。
海豚と河豚 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
それがこの数年の定跡じょうせきであった。
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)