嬰児こども)” の例文
旧字:嬰兒
大小いろいろな嬰児こども達が、あるいは寵の列の間を走り廻り、又は煉瓦を組んだ上に坐っていた。母親の背中にいるのもある。
「おなか嬰児こどもが居たもんでねえ、いろいろ考えては見たけれど、またお姑にいじめられに……」
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この家は以前もと土蔵をこわした跡へたてたのだが、土蔵のあった頃当時の住居人すまいにんそれ女房にょうぼが、良人おっとに非常なる逆待ぎゃくたいを受け、嬰児こどもを抱いたまま棟木むなぎに首をつって、非命の最期を遂げた、その恨みが残ったと見えて
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
室内は動揺どよむ。嬰児こどもは泣く。汽車はとどろく。街樹なみきは流るる。
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)