嫩葉ふたば)” の例文
たとへば吉田白流よしだはくりう氏の「奥州路あうしうぢ」の如き、遠藤教三ゑんどうけうざう氏の「嫩葉ふたばの森」の如き、乃至ないし穴山義平あなやまぎへい氏の「盛夏」の如きは、皆このたぐひの作品である。
西洋画のやうな日本画 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
嫩葉ふたばから花を見るまでにするには、風雨の朝夕、子を育てるような細心の注意と愛がなければ、などともいって
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
楓も赤い茎を伸ばし、赤みを帯びた緑の嫩葉ふたばを拡げた。いかにも幼く、嫋嫋しい感じである。
落日の光景 (新字新仮名) / 外村繁(著)
この季節特有の薄靄うすもやにかげろわれて、れたトマトのように赤かった。そして、彼方此方かなたこなたに散在する雑木の森は、夕靄の中にくろずんでいた。萌黄もえぎおどしのもみ嫩葉ふたばが殊に目立った。
土竜 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「これは、嫩葉ふたばのうちに、んでおかぬと」
日本名婦伝:大楠公夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)