なこうど)” の例文
孫はふとその気になって自分の境遇のことも考えずに、とうとうなこうどをする婆さんに頼んで結婚を申しこんだ。
阿宝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
陸との縁談はなこうどが先方に告げずに渋江氏に勧めたのではなかろうが、余り古い事なので巽さんはすでに忘れているらしい。然るにこの度は陸が遂に文一郎のへいしりぞくることが出来なくなった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
蓮香は燕児の不思議を聞いて、桑に勧めてなこうどをたのんで結婚させようとしたが、桑は貧富の懸隔けんかくが甚しいのですぐ蓮香の言葉に従うことができなかった。ちょうどその時、燕児の母の誕生日になった。
蓮香 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)