好個こうこ)” の例文
さるが故に今日こんにち吾人ごじんに対してもなほ永久なる恋愛の詩美を表現する好個こうこの象徴として映ずる事を妨げざるなり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
動物や植物の世界、星辰の世界、人類生息の社会も亦好個こうこ実験(此場合では観測)の室である。
洪川禅師のことども (新字新仮名) / 鈴木大拙(著)
たまたまこのことがあるがゆえに、メンデルスゾーンの老衰の意外に早かりしことと、常に進み、常に動き、生涯を悩み続けたベートーヴェンなどと、好個こうこの対照とされているのである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
座蒲団地ざぶとんじとして巾広はばびろのを試みていますが、服地としても好個こうこのものであります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
好個こうこの探偵小説だね。で、黒田氏が説明して云うことには、他殺ではないかといううたがいを起したのは、死人の傷口の出血が案外少いといって警察医が小首を傾けた。その極めて些細な点からであった。
一枚の切符 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)