奈何どんな)” の例文
手習ひする生徒の背後うしろへ廻つて、手に手を持添へて、漢字の書方なぞを注意してやつた時は、奈何どんなに其筆先がぶる/\と震へたらう。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
私はそれが嬉しかつた。奈何どんな尫弱かよわい体質でも、私は流石に男の児、藤野さんはキツと口を結んで敏く追つて来るけれど、容易に捉らない。
二筋の血 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
吾儕われ/\事業しごと是丈これだけに揚つて来たのも、一つは君の御骨折からだ。斯うして君が居て下さるんで、奈何どんなにか我輩も心強いか知れない。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
私はそれが嬉しかつた。奈何どんな尫弱かよわい體質でも、私は流石に男の兒、藤野さんはキッと口を結んでさとく追つて來るけれど、容易につかまらない。
二筋の血 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
奈何どんなに丑松は名残惜しいやうな気に成つて、あをざめた先輩の頬へ自分の頬を押宛てゝ、『先生、先生。』と呼んで見たらう。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
東京に行けば、言ふまでもなく女中奉公をする考へなので、それが奈何どんなに辛くとも野良稼ぎに比べたら、朝飯前の事ぢやないかとお八重が言つた。日本一の東京を見て、食はして貰つた上に月四圓。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
畠を作ったり、鶏を飼ったりした八年間の田園生活、奈何どんなにそれが原の身にとって、閑散のんきで、幽静しずかで、楽しかったろう。
並木 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
『お祖父ぢいさんのきな惠那山ゑなやま奈何どんなでせう。』
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)