奇策きさく)” の例文
またあるいは音にひびいた軍学者小幡が、はたしてどんな奇策きさくを胸にめているか、それは余人よじんがうかがうことも、はかり知ることもできない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
余輩よはい常に思うに、今の諸華族が様々の仕組をもうけて様々のことに財を費し、様々のうれいうれえて様々の奇策きさく妙計みょうけいめぐらさんよりも、むしろその財のいまむなしく消散しょうさんせざるにあたり
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
とかれは、ふと思いついた胸中の奇策きさくに、ニタリとえつをもらしたが、そのとき、なんの気なしに天井てんじょうを見あげるやいな、かれは、全身の血を氷のごとくつめたくして
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
民蔵たみぞう、そのほうの奇策きさくはまんまとにあたった。こなたより奉行所ぶぎょうしょ密告みっこくしたため、アレ見よ、おきでも、この通りなさわぎをしているわい……小きみよい悪党あくとうばらの最後じゃ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)