天飈てんぴょう)” の例文
全山の焼討ちと、僧俗すべての大殺戮だいさつりくが無言の答えとして敢行された。この世ながらの地獄が半夜のうちに天飈てんぴょうのごとく全山をつつんだ。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
天飈てんぴょうの如くふり下ろされようとしたが、新九郎もここ必死、斬り辷った身をうねらせつつ、片手払いにかえした。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と叫んで斜めによろめいたところを天飈てんぴょうの如き河内房の強力で、新九郎の小手をしたたかに打ち込んだ。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とは言ったが、抜き連れた六、七本の刀が、どれもこれも気を呑まれて、ビクともしない、それも瞬間、機先を制して新九郎が、彼等の一角へ天飈てんぴょうの剣をふり込んで行った。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「全文、熱烈な念仏批判の文字だ。念仏門の教義も、あれには木ッ葉微塵みじんに説破されてしまった形だ。——空谷くうこく天飈てんぴょうというのは、ああいう文章のことではないか。何しろ、痛烈にやったものだな」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)