大根卸だいこおろし)” の例文
自分は確に左樣さうだと思つた。それにしても今頃何の必要があつて、隣りのへや大根卸だいこおろしを拵えてゐるのだか想像が付かない。
変な音 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
まかなひは遙か半町も離れた二階下の臺所に行かなければ一人もゐない。病室では炊事すゐじ割烹かつぱうは無論菓子さへ禁じられてゐる。して時ならぬ今時分何しに大根卸だいこおろしこしらえやう。
変な音 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
是は屹度きつと別の音が大根卸だいこおろしの樣に自分に聞えるのに極つてゐると、すぐ心のうちで覺つたやうなものゝ、さてそれなら果して何處から何うして出るのだらうと考へるとぱり分らない。
変な音 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「何でも大根卸だいこおろしの中にはジヤスターゼが有るとか云う話しを新聞で読んでからです」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いいえ大根卸だいこおろしを……あなた。坊や御父様がうまいものをやるからおいでてって、——たまに小供を可愛がってくれるかと思うとそんな馬鹿な事ばかりするんです。二三日前にさんちまえには中の娘を
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)