大本教おおもときょう)” の例文
大本教おおもときょうは二、三年前大地震を予言して幾分我々を不安におとしいれたが、地震に対する防備に着手させるだけの力はなかった。
地異印象記 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
大本教おおもときょうが盛りだした時以上に天理教流行の時があった。一体下町で、いつも景気のよい宗旨は日蓮宗だが、時々新らしい迷信が捲起まきおこることがある。
その城跡に、大本教おおもときょうの豪壮な本部があったのだ。不敬罪に問われ、ダイナマイトで爆破された直後であった。僕達は、それを見物にでかけたのである。
日本文化私観 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
その事極めて米国を怖るる昨今大本教おおもときょうが頭を上げたと似て居るぞよ。怖れて騒ぐばかりでは何にもならぬぞよ。
きょうも、——きょうは生憎あいにくあの時のように誰もその才能を発揮しない。が、大本教おおもときょう神主かんぬしが一人、彼自身の子供らしいしら肩車かたぐるまにしていたのは今日こんにち思い出しても奇観である。
文章 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
まったく、大本教おおもときょうのお筆先ふでさきに引っかかったみてえで……それから亜米利加へ着くまで二週間ばかりの間、六の親父とあっしと二人で上甲板の病室に入れられてウンウン云っておりました。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
女性によって開拓された宗教——売僧俗僧まいすぞくそうの多くが仮面をかぶりきれなかった時において、女流に一派の始祖を出したのは、天理教といわず大本教おおもときょうといわず、いずれにしても異なる事であった。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)