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大宅
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おほや
いつの
時代なりけん。紀の国
二三輪が崎に、
大宅の竹助といふ人在りけり。此の人
三海の
幸ありて、
海郎どもあまた養ひ、
四鰭の
広物
狭き物を
尽してすなどり、家豊かに暮しける。
只今
暇給はらば、
三六六娘子の命も
恙なくおはすべしといふを、庄司
更に
肯けず、我
三六七弓の
本末をもしりながら、かく
三六八いひがひなからんは、
大宅の人々のおぼす心もはづかし。
大宅の
父子多くの物を
二一〇賄して罪を
贖ふによりて、百日がほどに
赦さるる事を得たり。かくて
二一一世にたち
接らんも
面俯なり。姉の大和におはすを
訪ひて、しばし
彼所に住まんといふ。