大唐だいとう)” の例文
その年の秋、悟浄ごじょうは、はたして、大唐だいとう玄奘法師げんじょうほうし値遇ちぐうし奉り、その力で、水から出て人間となりかわることができた。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
でも、彼の心のふさぎのむしは痕を潜めて、唯、まるで今歩いてゐるのが、大日本おほやまと平城へいせい京でなく、大唐だいとうの長安の大道でゞもある様な錯覚が押へきれない。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
仔細しさいを申せば、大唐だいとうの開山洞玄とうげん国師このかた、代々の老祖大仙たいせんが、魔ものを捕りおさえては、この石窟せっくつへ封じ込めおかれたもので、みだりに開くことはなりません
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大唐だいとう翰林学士かんりんがくし芳九連ほうきゅうれんじょふん しるす
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
菩提樹林ぼだいじゅりんの熱帯の国から、大唐だいとう大陸を経て、いまや四季の国、歌の国のここ日本の地に移り咲いて、らんまんたる浄土天国が顕現されているようにさえ——眼には、見えもするのであった。