大串おおぐし)” の例文
以前と同じような澄ましたかおで、釜前に火をくべていて、片手には大串おおぐしを持って、それで釜の中の肉を突きさしてはしきりに食べている。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
大きいのはなんに用いても、大味おおあじ駄目だめなものだ。うなぎの大串おおぐしはまだしも、あなごの大串に至っては、絶対におもしろくない。
鱧・穴子・鰻の茶漬け (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
「これあおどろきだ、大串おおぐしのてえしたうなぎじゃあねえか、ずいぶん久しく食べねえから、見たばかりで腹が鳴りあがる、おっとおれがぜんを出そう」
ゆうれい貸屋 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
時々うなぎ位用いたとても六十五万石の大身代おおしんだいでは減るようなこともあるまいゆえ、三日に一度位は油の乗った大串おおぐしを充分に食して、もッと胆を練るようにとな。
すぐ南隣りは、大串おおぐしという呉服問屋の大家の住居で、これも同様な橋懸りに長い黒板塀をめぐらし、その先も、また赤門寄りの静かな通りも、すべて生垣や門構えばかりである。
やがて持って来た大串おおぐしあぶらッこい奴をペロペロと五皿いつさら平らげた。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
大串おおぐしがよござんすか、小串が?」
メリイクリスマス (新字新仮名) / 太宰治(著)
大串おおぐしの重親か」