“夥兵(くみこ)” の例文
其頃既に庄内藩には府下非常を誡(いまし)めのため常に市中を巡邏(じゆんら)あり、且つ南北の町奉行にも這回(このたび)の暴挙を鎮撫なさんと自ら夥兵(くみこ)を従へつつ普(あまね)く市街を立廻りて適宜の処置に及ばんとするに
顔の色は蒼(あお)ざめて、乱髮(みだれがみ)振りかかれるなかに輝きたる眼(まなこ)の光の凄(すさ)まじさ、瞻(みまも)り得べきにあらず。夥兵(くみこ)立懸(たちかか)り、押取巻(おっとりま)く、上手(かみて)に床几(しょうぎ)を据えて侍控えいて、何やらむいい罵(ののし)りしが、薪(たきぎ)をば投入れぬ。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)