夙川しゅくがわ)” の例文
あの夙川しゅくがわの貧しい家に住む母や兄の上に思いをせて、自分もあの家にいた方がよかったと、後悔しているのではなかろうか。………
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
チタ子とは数日前、私が夙川しゅくがわの舞踊場の踊りの帰路を立寄ったR酒場で会ったのです。彼女は自分の勤めている官省のN課長とやってきました。
大阪万華鏡 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
しまいにはれて、おさく師匠が見えてから電話で知らして貰い、悦子が稽古している間に夙川しゅくがわからけ付けると云うようにした。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
今日夙川しゅくがわで久し振にこいさんにお目に懸り、御上京中の姉上が目下悦子さんと二人ぎりで築地の浜屋に泊っておられることを聞きました。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
看護婦や「ばあやさん」にそれぞれの心づけをしてから夙川しゅくがわのハイアを呼び、一時間ばかりおくれて病人の自動車のあとを追った。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
また阪急で夙川しゅくがわまで後戻りして、あそこからタクシーで香櫨園こうろえんまで帰って来ましたら、ちょうど十二時になってました。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
いつの間にか夙川しゅくがわの仕事部屋と共に弟子に譲ってしまったと云っているし、洋裁学院の方も怠ける日が多いらしかった。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
もっとも洋裁学院も、あれからずっと休みなのであったが、夙川しゅくがわ松濤しょうとうアパートの方は幸いに水禍すいかを免れたので、製作の仕事を続ける分には差支えないのだけれども
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
阪急の夙川しゅくがわの駅で下りて、山手の方へ、ガードをくぐって真っぐに五六丁も行くと、別荘街の家並が尽きて田圃路たんぼみちになり、向うに一とむらの松林のある丘が見えて来る。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
もう一箇月も前から毎日の大部分を夙川しゅくがわのアパートで暮していたが、その間に又、舞の稽古けいこも捨てられないと云って、一週に一度ずつ大阪の山村の稽古場に通っていたので
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
る日又二人が散歩して夙川しゅくがわから香櫨園こうろえんへ行く途中阪神国道を横切ろうとすると、通りかかった阪国バスから雪子が降りて来て運悪く出遇であってしまったと云うことを、雪子は黙っていたけれども
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)