外見みかけ)” の例文
数馬とそして市之丞とは血気の若武士であるだけに外見みかけは平然としているものの、内心不安に思っているらしい。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それ見ろ、猫や犬の方がまだ健気けなげな処がある。此牧師さんも内心はだ怪しいが、外見みかけだけは立派だ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
布袋の樣に肥滿ふとつた、モウ五十近い氣丈の主婦おかみも、外見みかけによらぬ親切者、女中は小さいのを合せて三人居た。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
あの時ジナイーダの外見みかけはすこぶる冷静だったけれども、内心ではそれが異常な衝動ショックだったのだ。
聖アレキセイ寺院の惨劇 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「そうか。お宮さん学者が好きか。此の土地にゃ、お客の好みに叶うように、頭だけ束髪の外見みかけだけのハイカラが多いんだが、お宮さんは、じゃ何処か学校にでも行っていたことでもあるの?」
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
で、この館はその内部なかみ外見みかけと同じように寂しくなり、蒼然となり恐ろしくさえなった。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
土地ところで少しは幅を利かした、さる医師の住つて居た家とかで、室も左程に悪くは無し、年に似合はず血色のよい、布袋ほていの様に肥満ふとつた、モウ五十近い気丈の主婦おかみも、外見みかけによらぬ親切者
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)