売捌うりさば)” の例文
彼らはまた己れが思想の伴侶たるべき机上の文房具に対しても何らの興味も愛好心もなく、卑俗の商人が売捌うりさばく非美術的の意匠を以て、更に意とする処がない。
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
蝋の売捌うりさばきにいたるまでの商売上の駈引かけひき、その他、日々の一家の経営にかけては、人にうしろ指をさされたことがなく、それに、すでにその頃には、子供が二人も出来ていたので
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
この地方はいぐさの産地で、水田に植えられている様も、土地の一風景であります。畳は日本の生活になくてならないものでありますから、売捌うりさばく先も手広く、大きな産額に上ります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
あるいは当たりあるいははずれ、この仕入れに損をこうむりかの売捌うりさばきに益を取り、一年または一ヵ月の終わりに総勘定をなすときは、あるいは見込みのとおりに行なわれたることもあり
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
文「成程、その品物や女は何処へ売捌うりさばくのですか、御存じありますまいか」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
この組合は農民の手でなる米穀類の保管から売捌うりさばき交渉一切を引き受ける上に、金銭を貸し与えて肥料の供給までするのである。この便利な組織は自然に農民の心を引きよせるに充分であった。
厨房日記 (新字新仮名) / 横光利一(著)
その事のわたるや各国公使は異口同音いくどうおんに異議を申込みたるその中にも、和蘭公使オランダこうしのごときもっとも強硬きょうこうにして、現に瓜哇ジャワには蘭王らんおう料地りょうちありて物産ぶっさんを出せども、これを政府の手にて売捌うりさばくことなし
この分量が売捌うりさばかれ得ないであろう。