城砦じやうさい)” の例文
又其北岸城砦じやうさいの上一葉の地図を前にひらいて世界の色のす/\東方の桜光に染まり行くを諦視し、左に持ちたる『膠洲湾かうしうわん』の盃の毒酒にや酔ひけむ、顔色段々青くなり
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
これをおもへば烟立つヱズヰオのいたゞき、露けく緑深き葡萄の蔓の木々の梢より梢へと纏ひ懸れる美しき谿間たにま、或は苔を被れる岩壁の上にあらはれ或は濃き橄欖オリワの林に遮られたる白堊はくあ城砦じやうさいなど