明治二十九年の末に出版せられし坪内逍遥つぼうちしょうよう氏が『梨園りえん落葉おちば森鴎外もりおうがい氏が『月草つきぐさ』の二書をひもとけば当時諸家の企てし演劇改革の状況を知るにかたからず。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その折に出たのが、坪内逍遥つぼうちしょうよう氏の『書生気質しょせいかたぎ』であった。この書物はいままでの書物とはくらべものにならぬ優れたもので、さかんに売れたものである。
明治十年前後 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
「頂上十二階までが、春のや主人——坪内逍遥つぼうちしょうようよ。それから、森鴎外、森田思軒しけん依田学海よだがくかい、宮崎三昧道人さんまいどうじん。」
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
そのあいだにおいて別種の注意をひいたのは、かの東京座の三月興行に坪内逍遥つぼうちしょうよう博士の「桐一葉きりひとは」を上演した事と、歌舞伎座の四月興行に森鴎外もりおうがい博士の「日蓮聖人辻説法にちれんしょうにんつじせっぽう
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そのあいだで鋭意に真摯しんしに、劇の革新と向上とに努力をつづけていたのは坪内逍遥つぼうちしょうよう博士で、博士は『早稲田文学』をその本拠として、絶えず指導的の論評を試みていたばかりか
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
文芸協会はこの年の十一月、歌舞伎座で坪内逍遥つぼうちしょうよう博士の「桐一葉きりひとは」を上演した。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)