坐舗ざしき)” の例文
けれども、お鍋の腕力にはかなわない。無理無体に引立られ、がやがや喚きながらも坐舗ざしきを連れ出されて、稍々やや部屋へ収まッたようす。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
お勢がまず起上たちあがッて坐舗ざしきを出て、縁側でお鍋にたわぶれて高笑をしたかと思う間も無く、たちまち部屋の方で低声ていせいに詩吟をする声が聞えた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
文三はグット視下ろす、昇は視上げる、眼と眼を疾視合にらみあわした、何だかおつ塩梅あんばいで。それでも文三は渋々ながら坐舗ざしき這入はいッて坐に着いた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)