地震ない)” の例文
「何んなりとも承りましょう、妙高山の硫黄のえる中へでも、地震ないの滝壺の渦巻く底へでも、飛込めとならきっと飛び込んでみせまする」
怪異黒姫おろし (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
たとえば地殻から揺りあげて来た地震ないの力にでもまかされているかのように、何とも名状しがたい物音と凄愴せいそうの気にくるまれて来たのであった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
穂芒ほすすき地震ないに裂けたる山の腹(昭和五年十月、渋柿)
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
地震ないの神にも崩されず
門の柱へ両手をかけたと思うと、地震ないのようにみりみりとそれは揺れだして、あれよと人々の驚くうちに、すさまじい物音立てて内側へ仆れた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
地震ないの滝道のかば林の中に、深さ六尺位、広さ五六畳程の竪穴を掘り、その上に半開の唐傘式に木材を組合せ、それに枯茅かれかやいて屋根とした奇々怪々の住居すまい。それが疑問の老翁の隠宅であった。
怪異黒姫おろし (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
ドドドドドド……ッ——と地震ないのような轟音ごうおんは、その一しゅんに、あたりを晦冥かいめいにしてしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「最前の地ひびきは、さては、このすさまじい音であった。地震ないではなかったのじゃ」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かかる間に、地震ないならぬ地震ないのあった徳島城の殿中は暮れた。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
地震ないだ!」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)