国風くにぶり)” の例文
旧字:國風
国風くにぶりとして、何人にも無関係でないのみならず、また、何人もこれに対していくばくの責任を負ふべきものであります。
しかも秀吉始め下手へたながら、国風くにぶりの和歌もまんとなれば詠みもするし、筆書諸道、人なみはみなたしなんでいる。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人のは限りあるを、限りなきよろづの物のことわりを考へきわめんとするにつけては、ひたる説多く、元よりさかしらなる国風くにぶりなるゆえに、現在の小理にかかはつて、かへつて幽神の大義を悟らず。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「家」の祭りは国の祭りに通じ、家の名誉は国の名誉につながり、家の風格は国風くにぶりの流れに添ひ、家の掟は、臣民の道にもとづくものでなければなりません。
わずかに隣室の上部の欄間らんまから光線がもれ入るに過ぎない。しかし国風くにぶりによって施された装飾の美は目もさめるばかりで、壁と言わず、襖と言わず、構造は実に念の入ったものであったという。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
わが国の国風くにぶりなるものがしつかり植ゑつけられ、日本の「家」の伝統が比較的完全に保たれてゐるからです。
国民に「たしなみ」が欠けてゐては、国の国風くにぶりといふものは振ひません。
国防と文化 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
東亜の盟主たるわが日本の国風くにぶりは、現在われわれ同胞がいかなる心構へを以て「生活」し、いかなる方法を以てその日その日を送つてゐるかによつて、世界の批判に応へなければならないのである。
日本人のたしなみ (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
允文允武にまします歴代の天皇を御親みおやとし奉り、世界を「家」となす遠大な理想をかゝげ、赤子たるの光栄と本分とを忠誠の臣節に籠めて、ひたすら国運の発展と「うましき」国風くにぶりの充実に尽して来た