噺家はなしか)” の例文
当代の噺家はなしかの中では、私は文楽と志ん生とを躊躇ちゅうちょなく最高位におきたい。文楽は菊五郎、志ん生は吉右衛門、まさしくそういえると思う。
随筆 寄席囃子 (新字新仮名) / 正岡容(著)
わたくしは朝寐坊むらくといふ噺家はなしかの弟子になつて一年あまり、毎夜市中諸処の寄席に通つてゐた事があつた。
雪の日 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
噺家はなしか、たいこもち、金に糸目をつけぬ、一流の人たちがおもな役柄に扮し、お徒歩かち駕籠かごのもの、仲間ちゅうげん長持ながもちかつぎの人足にんそくにいたるまで、そつのないものが適当に割当てられ
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
その物語の最中に、その男は商売人の噺家はなしかがするように、喝采を求めるために一座をずらりと見廻した拍子に、彼とわたしの眼とがぴったり出合うと、そのまま口をつぐんでしまった。
自分はその前寄席よせへ行って、よく噺家はなしかがこんな手真似てつきをするのを見た事があるが、自分でその通りを実行したのは、これが始めてである。この手真似を見ていた原さんが、今度はこう云った。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
べらべらしゃべる円蔵がかかっていて「八笑人」や「花見の仇討あだうちや、三馬の「浮世床」などをいたものだったが、今来てみると、それほどの噺家はなしかもいなかったし、雰囲気ふんいきもがらりと変わっていた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
わたくしは朝寐坊むらくという噺家はなしかの弟子になって一年あまり、毎夜市中諸処の寄席よせに通っていた事があった。
雪の日 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
二十年前亡友A氏と共にしばしばこのあたりの古寺ふるでらを訪うた頃の事やら、それよりまた更に十年のむかし噺家はなしかの弟子となって、このあたりの寄席よせ常盤亭ときわてい高座こうざに上った時の事などを
深川の散歩 (新字新仮名) / 永井荷風(著)