“嘔吐(もど)” の例文
二本の指を口へいれて、苦しそうに酒を嘔吐(もど)している。いつも、顔へ顔が映ると笑われている彼の頬も、艶気(つやけ)がなく、真っ蒼(さお)であった。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「嘔吐(もど)したら、また食べる迄の事さ。食べては吐き、食べては吐きしてる間(うち)に船も仏蘭西の港へ着かうといふものだ。」
「この子は面白いのよ。さっきチューインガムを買ってやったら臭いを嗅いだだけで嘔吐(もど)すのよ。おかしな子ネ。ホラ見ていてごらんなさいよ、面白いのよ」
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
(小丼に入れた、青梅の紫蘇巻(しそまき)じゃ。や、香もならぬ、ふっふっ。ええ、胸悪やの、先刻(さっき)にから。……早く退(ど)けしゃらぬと、私(わし)も嘔吐(もど)そう、嘔吐そう、殿。)
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と子供時分の遊戯唄(あそびうた)をうたいながら順々に股をくぐり抜けた。そして、俯向(うつむ)いたために、胃の腑(ふ)から嘔吐(もど)しそうになる酒の悪酔(わるよ)いを怺(こら)えながら
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
女史は苦しさうに嘔吐(もど)してゐるその愛蘭人の肩を抱へながら言つた。