たか)” の例文
そこはたかい欅や樫や椎の木にまじつて椋の木や櫻の木などが鬱蒼と溪から山腹を覆つてゐた。藤はその梢の一つへ咲いて出たのだ。
闇への書 (旧字旧仮名) / 梶井基次郎(著)
彼等の啼声が以前空を飛び、またはたかい木の枝に休んで、仲間を待ち合せる際に発していた声と、この頃は大分ちがった囀りを交えるようになった。
「まあ、その話は、たかさ、ゆつくりしようよ。おれもいくらか世間を見て来たでなあ」
(新字旧仮名) / 岸田国士(著)
草木も人の手のめぐみに遠ざかりたるより色失せ勢へて見る眼悲しくなりたるが中に、此花のたかき常盤樹の梢に這ひ上りて、おのが心のまゝに紫の浪織りかけて静けく咲き出でたるなど
花のいろ/\ (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
何という完全な楡のすがたであったろう。楡ほど枝ぶりの整った木は珍らしい。殊にそれが老木になったほどたかく、また鬱蒼と張っている。観ていていかにも北方の木の母だという感じがする。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
そんなこたあねえだ。ゆんべは正式の布令ふれを廻したんぢやあんめえ。東京からたかさを
(新字旧仮名) / 岸田国士(著)
高野槙たかみ立つ冬のはれ君が御山にのぼり来にける (日瞻上人に)
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)