唐招提寺とうしょうだいじ)” の例文
西の京から薬師寺と唐招提寺とうしょうだいじへ行く途中の春景色にはじめて接したとき、これがほんとうの由緒ゆいしょ正しい春というものなのかと思った。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
さらに目を転じて室の北壁に向かうと、そこにも唐招提寺とうしょうだいじなどの木彫の観音が、あたかも整列せしめられたごとくに、並び立っている。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
大和の国を訪ねる人たちは、あの三月堂や唐招提寺とうしょうだいじの屋根の美しさに見入るでしょう。天平てんぴょうの国宝として誰も忘れることが出来ないものです。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
ただし、このさい直接、奈良の東南院へ潜幸せんこうされたとなす説と、一夜は唐招提寺とうしょうだいじ入御にゅうぎょして、奈良の動静をたしかめたうえ行かれたという二説がある。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いま、唐招提寺とうしょうだいじの松林のなかで、これを書いている。
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
東の方が少し静かになって来たかと思うと、今度はまた西の方で唐招提寺とうしょうだいじ西大寺さいだいじ西隆寺さいりゅうじなどの造営がはじまる。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
石州の茶室でお茶を御馳走ごちそうになってから小泉の駅へ出る道は、西の京から薬師寺と唐招提寺とうしょうだいじへ行く道とともに、私の最も好ましく思ったところである。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
東大寺の光円を訪れ、唐招提寺とうしょうだいじをたたき、そのほか、法燈のあるところといえば、けわしさにひるまず、遠きにまず、雨や風に打たれても尋ねて行った。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
唐招提寺とうしょうだいじの金堂を訪れた人は、誰しもその見事な円柱に心をとめるであろう。円柱が全姿をあらわに並列しているのは、大和古寺のなかでもこの寺以外にはない。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)