味善あんじょ)” の例文
「維康さんも蝶子のために、苦労して来やはった。維康さんの手術しりつ味善あんじょういってくれたら、わては蝶子の顔見んと死んでも満足や」
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
うちが味善あんじょうするよってっといて、と、妙子は云って、今度の費用は、奥畑方で病臥びょうが中の分も、入院してから以後の分も、当然自分が支払うべきものだけれども
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
時々現像してやってるけど——そうそう、お君ちゃん、あんたの今の写真、なんやったら僕が味善あんじょう引伸したげよか、それ大分剥げてるから……
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「そやよってに、いずれゆっくり出直して来させますけど、今度は一遍連れて帰ります云うて、あたしから味善あんじょう云うて欲しい、それ引請ひきうけてくれたら行く、云うてますねん」
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「いや、そうやないて。———今度のんはあんまり急なこと云われたのんが気に入らんのんで、お腹の中は満更いややないらしいねん。味善あんじょう云うたら承知するやろと、あたしは見てる」
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「そうかて、あの人、味善あんじょう云わなんだら承知しやはらへんねん」
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
三人の仲のよいことは親類じゅうに知れわたっておりましたからかどのたつようなことはできませぬのでそうこうするうちにまた両方から近づいてしまいましてけっきょくお静のはからったことが味善あんじょう行ったのでござりました。
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)