告別わかれ)” の例文
文三は狼狽あわてて告別わかれの挨拶を做直しなおして匇々そこそこ戸外おもてへ立出で、ホッと一息溜息ためいきいた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
そのうちに、ポッと浮いて見えたかと思う大島が掻消かきけすように隠れた。あだかも金をつかって身をもだえながら帰って行く山本さんにむかって、「船旅も御無事で」と告別わかれの挨拶でもするかのように……
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
わたくしも今少し逗留とうりゅうしていますと、いろいろお話もいたすのですが——今日はお告別わかれに私がこの書を読むようになりましたその来歴しまつをね、お話ししたいと思いますが。あなたお疲れはなさいませんか。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
と一声、もっと刺せとか、それとも告別わかれの意であったか
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)