吹奏すいそう)” の例文
そこらの小路こうじ公卿くげ屋敷らしい。吹奏すいそう律調しらべの厳かなうちにも哀調があるところから察すると、酒興にけている公卿たちのすさびとも思われない。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この面白い首振りのところで、茂太郎が、ふっと蘆管の吹奏すいそうをやめてしまったのは惜しいことです。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
炎々えんえんと燃えあがった塔上とうじょうの聖火に、おなじく塔上の聖火に立った七人の喇叭手らっぱしゅが、おごそかに吹奏すいそうする嚠喨りゅうりょうたる喇叭の音、その余韻よいんも未だ消えない中、荘重そうちょうに聖歌を合唱し始めた
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
イプセンの「野鴨」という劇に、気の弱い主人公が自分の家庭でフリュートを吹奏すいそうする場面があるが、僕なんかも笛でも吹けたらなあと思うことがある。たとえばこんな曲はどうかしら。
落穂拾い (新字新仮名) / 小山清(著)
花火が空に炸裂さくれつする、遠くの音楽隊の吹奏すいそうがながれてくる。観衆はグラウンドにつめ込んだ。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)