“吉左衛門(きちざえもん)” の例文
旧(ふる)い屋敷の一部は妻籠(つまご)本陣同様取り崩(くず)して桑畠(くわばたけ)にしたが、その際にも亡(な)き父吉左衛門(きちざえもん)の隠居所だけはそっくり残して置いてある。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
しかるに翌日は田代村を巡検して、それから長崎村に廻り、ここの吉左衛門(きちざえもん)という庄屋の家に一泊したが、この日も同じく謎の男が駕の近くに出没した。
丹那山の怪 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
一人ぐらいから以後は、吾人のもって喜ぶに足るような茶碗は生まれていないではないか。吉左衛門(きちざえもん)どころではない不吉左衛門ばかり続いているのはどうしたことか。
現代茶人批判 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
乗り物、先箱(さきばこ)、台傘(だいがさ)で、この新住職が吉左衛門(きちざえもん)の家を出ようとすると、それを見ようとする村の子供たちはぞろぞろ寺の道までついて来た。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
本陣の当主吉左衛門(きちざえもん)と、年寄役の金兵衛(きんべえ)とはこの村に生まれた。吉左衛門は青山の家をつぎ、金兵衛は、小竹の家をついだ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
吉左衛門(きちざえもん)は隠居の身ながら、忰(せがれ)半蔵の留守を心配して、いつものように朝茶をすますとすぐ馬籠(まごめ)本陣の裏二階を降りた。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ちょうど半蔵の父、吉左衛門(きちざえもん)は尾張藩(おわりはん)から御勝手(おかって)仕法立ての件を頼まれて、名古屋出張中の留守の時であった。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
水戸浪士をこの峠の上の宿場に迎えるばかりにしたくのできたころ、彼は広い囲炉裏ばたへ通って、そこへ裏二階から母屋(もや)の様子を見に来る父吉左衛門(きちざえもん)とも一緒になった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
一日の勤めを終わって庄屋(しょうや)らしい袴(はかま)を脱いだ半蔵は、父吉左衛門(きちざえもん)のことを妻のお民にたずねた。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そう言って村の人たちに声をかける時の半蔵の調子は、父吉左衛門(きちざえもん)にそっくりであった。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)