右大弁うだいべん)” の例文
当主の家成は、五十がらみの、人のさそうな男だった。右大弁うだいべんの官職にあったが、いまは退官して、闘鶏とうけいにばかり熱心である。
宮中へお呼びになることは亭子院のおいましめがあっておできにならず、だれにも秘密にして皇子のお世話役のようになっている右大弁うだいべんの子のように思わせて
源氏物語:01 桐壺 (新字新仮名) / 紫式部(著)
しかし、女はいつかその男が才名の高い右大弁うだいべんの殿である事などをそれとはなしに聞き出していた。
姨捨 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
まさに、あれやこれの、最中さなかなのである。ご焦慮しょうりょもいちばいだった。ついに、右大弁うだいべん宰相さいしょう清忠を召されて
この日の御饗宴きょうえんの席の折り詰めのお料理、かご詰めの菓子などは皆右大弁うだいべんが御命令によって作った物であった。
源氏物語:01 桐壺 (新字新仮名) / 紫式部(著)
蔵人頭くろうどのかみから右大弁うだいべんに昇り、今も参議という現職にある朝臣あそんであるが、そこでこの貴公子はさかんに六条柳町へ通ってくる。この世界にいる時だけ腹の立つのを忘れるというのである。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、右大弁うだいべん清忠がいうと