可申まうすべく)” の例文
そこでペインに「小生も貴君きくんと同様の事業をくはだて居り候へども、貴君のすでに之を完成されたるは結構千万の儀にて、先鞭せんべんの功は小生よりお譲り可申まうすべく云々うんぬん
向ふ側ばかり燒失にて、道幅も格別廣き處故、今度ものがれ可申まうすべく、さ候はば外へ立のくにも及ぶまじと申候に、鳶の者もさ樣に心得、いか樣にやけて參候とも、此大釜二つに水御坐候故
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
相沢活夫君の論は、此号の論客中尤も文に老練なる者と可申まうすべく、君の感慨には小生亦ひそかに同情に堪へざる者に有之候。既にこの気概あり、他日の行動嘱目しよくもくの至りに御座候。(以下次号)
渋民村より (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
生得しやうとく下戸げこと、戒行の堅固な處と、氣の強い處と、三つのかね合故あひゆゑ、目をまはさずにすみ申候、此三つの内が一つ闕候かけさふらうても目をまはす怪我にて、目をまはす程にては、療治も二百日餘りかゝ可申まうすべく
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)