叫声きょうせい)” の例文
旧字:叫聲
ああかかる不思議なる光景は世界のどこにありや、余は二三分間黙考せしが、たちまち我ながら驚くごとき絶望の叫声きょうせいを発せり。
南極の怪事 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
と云う恐怖の叫声きょうせい。令嬢は袖で顔を隠したまま、猫の前の鼠の様に、もう身動きさえ出来ないのだ。
黄金仮面 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
私達が丁度自宅の前辺り迄来た時に、遙かに吹き荒ぶ嵐の中から人の叫声きょうせいを聞いたと思った。
琥珀のパイプ (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
同時に、また一人の叫声きょうせいが走ったのは、源三郎の剣、ふたたび血を味わったらしい。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
突然に、悲鳴に似た叫声きょうせいが、手近かに起った。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
この時自分の口をいて出た叫声きょうせい
遺言 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
その中で、人と舟とは殆ど離れ離れになってしまった。そんな時、明智は腹の底から本能的にこみ上げて来る、ギャアと云う動物的な叫声きょうせいを止めることが出来なかった。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
その途々みちみち余は甲板上に起る異様なる叫び声と、人々の激しく乱れ騒ぐ足音とを聴けり、されどかかる叫声きょうせいとかかる足音とは、船が暗礁に乗りあげし時など、常に起る事なれば格別怪しみもせず
南極の怪事 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
とのけぞる源三郎の叫声きょうせい。つづいて
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
彼女ははしたなく叫声きょうせいなど立てないで、その代りにつめた軽蔑けいべつくちびるをゆがめて見せた。
という守の叫声きょうせい
妖虫 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)