口開くちあ)” の例文
アルプスに日本のご婦人が登ったって記録はまだないんだから、アナタが口開くちあけになるわけですヨ。……こりゃもう大評判になりますネ。
「旦那、お立派なお侍様で、幾値いくらがとこでもありませんぜ。そんな、阿漕あこぎなことをいわないで、買っておくんなさい。口開くちあけだ」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
長州や水戸みとの方の先例は知らないこと、小草山の口開くちあけや養蚕時のいそがしさを前に控え、農家から取られる若者は「おやげない」(方言、かあいそうに当たる)と言って
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
しかし、これまで小草山の口開くちあけから種まきの用意まで一切はこの国固有の暦を心あてにして来た農家なぞにとっては、朔日ついたちだ十五日だということも月の満ち欠けに関係のないものはない。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)