双肩もろかた)” の例文
武松は唖然あぜんとした。いや次には、顔をみ破って、やにわに、背のずんぐり低いその饅頭屋の双肩もろかたへ両手をかけた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
走り寄って、彼女のなよかな双肩もろかたを抱きしめつつ、その耳へ口を寄せて、いくたびとなくおなじことを言っていた。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宋江は生ける心地もなく、ふと目の前に見えた古廟こびょうへ、双肩もろかたをぶつけてころがりこんだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今はとばかり、宋江のまなじりが裂けて見えた。とたんに、蒲団の下の白裸びゃくら双肩もろかたにかかった男の力で引っくりかえされ、乳ぶさの下から、鸞帯らんたいの錦、翡翠ひすいの玉が、チラと見えた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)