又者またもの)” の例文
わが殿もき、また、お連れ遊ばしている諸侯方もおわすのに、又者またもののわれらを、特に、お茶に招かるるわけはないと考えまする。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小身しょうしん又者またものでは、御威勢なみならぬ厩橋さまの御前はおそれ多くもあり、また」と甲斐は言葉を切った。
「百姓をおだてちゃいけない、百姓や又者またものをおだててのさばらせるのが、天下大乱のもとなのだ」
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
天皇に対し奉ってはいずれも又者またものの地位におり、国家の公民ではないのである。
賤民概説 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
(御君側を離れて、又者またもの(陪臣)になるわけですが、私を柴田殿の組下へお付け下さい。下級の士と立ち交じって、武士の態をよく見習いとうございます)
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
枕に死んでみせるよ、腕のつづく限り、この槍一本が砕けるまで突きまくって、死ぬよ、死ぬよ、ちぇッ、薩摩、長州の又者またものの下について、この神尾が生きていられるか!
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
又者またもの陪臣ばいしん)で名高きは、刑部ぎょうぶ、監物、松井佐渡——と世間にうたわれたほどの剛の者であったことはたしかであり、また、柴田の驍勇ぎょうゆう小塚藤右衛門を討ったことは他書にも見えるから、その一事は
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「全く増公ますこうの言う通りだ、どだい徳川の旗本が意気地なしだあから、そうだあから、又者またもの国侍共くにざむれえどもが、浪士風を吹かして、お江戸の真中をあの通りのさばり返っていやがる、旗本が意気地がねえんだ」
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)