厭嫌えんけん)” の例文
智識と経験とが相敵視し、妄想と実想とが相争戦する少年の頃に、浮世を怪訝くわいがし、厭嫌えんけんするの情起り易きは至当の理なりと言ふ可し。
厭世詩家と女性 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
知識と経験とが相敵視し、妄想もうそうと実想とが相争闘する少年の頃に、浮世を怪訝かいが厭嫌えんけんするの情起りやすきは至当の者なりと言うべし。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
もしその種の句にして果して悪き者ならば長くものし多くものする間には自然と厭嫌えんけんを生ずべし。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
それを分析したら、怪訝かいがが五分に厭嫌えんけんが五分であろう。秋水のかたり物に拍手した私は女の理解する人間であったのに、猪口の手を引いた私は、たちまち女の理解することあたわざる人間となったのである。
余興 (新字新仮名) / 森鴎外(著)