半身はんみ)” の例文
うす暗い奥にはひとりの男がよぎをかぶって転がっていたが、それでも眼を醒ましていたと見えて、直ぐに半身はんみを起こして答えた。
半七捕物帳:68 二人女房 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
万三郎は半身はんみになり、腰を充分に入れて、下手を思いきりひねった。云うまでもない、三島はみごとに投げとばされた。
風流太平記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
裂帛れつばくの気合もろともに突っかかったがヒラリ、半身はんみに開いた主水之介の横へ流れて、その穂先は、ぐっと主水之介の小脇にかかえこまれてしまいました。
「いや、被作虐者マゾヒイストかもしれんよ」と法水は半身はんみになって、暢気のんきそうに廻転椅子をギシギシ鳴らせていたが
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
そうすると米友は提灯を下へ置いて、足場を見計らい、例の杖槍を取って、半身はんみに構えたものです。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
寿江子(これはお正月のとき羽織半身分はんみぶんせしめられてしまった。あと半身はんみは咲枝のプレゼント)
ささ濁りに濁つた水の中に、青い藻が長く浮いてゐて、その蔭から大きな鯉が、真黒な半身はんみをのつそりと覗かせてゐるではないか。鋼鉄の兜でもかぶつたやうなそのしかめつ面。
魚の憂鬱 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
のぞきたるアイヌの家にいたましくさけ半身はんみのつるされしかな
小熊秀雄全集-01:短歌集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
ささ濁りに濁った水の中に、青い藻が長く浮いていて、その蔭から大きな鯉が、真っ黒な半身はんみをのっそりと覗けているではないか。鋼鉄の兜でもかぶったようなそのしかめっ面。
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
とお雪ちゃんが、まだ立ちながらの半身はんみで言う。米友はそれに答えました。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)