千鶴ちづる)” の例文
てる絶壁ぜつぺきしたには、御占場おうらなひばがけつて業平岩なりひらいは小町岩こまちいは千鶴ちづるさき蝋燭岩らふそくいはつゞみうら詠続よみつゞいて中山崎なかやまさき尖端とつさききばである。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
義隆よしたか千鶴ちづるがチブスになって、入院したものですから、倉知の奥さんに頼んで地所を抵当にして、金を借りてもらったのですが、奥さんは他処よそから借りてやるから、ちょっとした証書を作って
白っぽい洋服 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
お久さんの娘は千鶴ちづるというの。私のすぐ下に千鶴子ちづこというのが生れて、その子は札幌で生れ、へその緒を産婆がランプの芯切りばさみで切って(!)それを知らずにいて、すぐ死んでしまいました。
そのとき御門下の方々のお噂が出て「そういえば御国許には長橋千鶴ちづるというひとがいる筈だ。私が京に居た頃からの雅友で、会ったことはないが十年の余も文の往来が絶えない。おいでになったらぜひ訪ねてごらんなさい……」
日本婦道記:桃の井戸 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)