区画くかく)” の例文
旧字:區畫
気密扉というのは艇内が小さな区画くかくに分かれていて、そのさかいのところに、下りるようになっている扉だ。それを下ろすと空気は通わない。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
過去の面影と現在の苦痛不安とが、はっきりと区画くかくを立てておりながら、しかもそれがすれすれにすりよった。銃が重い、背嚢が重い、脚が重い。
一兵卒 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
新興城下町の安土は、まだ一年ともならないのに、区画くかく整然と、その三分の一は出来て、もう繁昌を極めていた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひところなどは、牛小屋のどの区画くかくの中にも、牛が一とうずついましたし、いまはからっぽになっている牡牛おうし小屋にも、りっぱな牡牛がたくさんいたものでした。
かわいいハトが身をちぢめて、カバンのべつの区画くかくに、おとなしくじっとしていました。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
きちんと区画くかくした墓地に、墓標ぼひょうだけがならんでいる新らしい兵隊墓。人びとの暮しはそこへ石の墓を作って、せめてものなぐさめとする力も今はなくなっていることを、墓地は語っていた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
『旦那は山の手ぢやあ、区画くかく整理にはおかかり合ひ無しですね。』
赤い杭 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
どんどん柱が立ったところで、それを横につらねて、堅固けんごな壁が出来ます。そうして一区画くかくずつ出来上ると、こんどは排水はいすい作業をやります。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)