匂宮におうみや)” の例文
冷泉れいぜい院の女一にょいちみやと結婚ができたらうれしいであろうと匂宮におうみやがお思いになるのは、母君の女御も人格のりっぱな尊敬すべき才女であって
源氏物語:44 匂宮 (新字新仮名) / 紫式部(著)
右大臣という人物にはいつも気づまりさを匂宮におうみやはお覚えになるらしい。右大臣の息子むすこの右大弁、侍従宰相、権中将、蔵人兵衛佐くろうどひょうえのすけなどは初めからおきしていた。
源氏物語:48 椎が本 (新字新仮名) / 紫式部(著)
大納言の一人息子むすこの若君を匂宮におうみやは御所などでお見つけになる時があると、そばへお呼びになってよくおかわいがりになった。聡明そうめいらしいよい額つきをした子である。
源氏物語:45 紅梅 (新字新仮名) / 紫式部(著)
どこの家でも匂宮におうみやへ奉ろうとして志を得なかった人はまだ源中納言という同じほどな候補者があると
源氏物語:51 宿り木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
御所の内宴などがあって騒がしいころを過ごしてから薫は、心一つに納めかねるようなうれいも、その他のだれに話すことができようと思い、匂宮におうみやの御殿をおたずねした。
源氏物語:50 早蕨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
紅葉もみじの季節に詩会を宇治でしようと匂宮におうみやはしておいでになったのであるが、恋しい人の所が喪の家になっている今はそのかいもないとおやめになったが、残念に思召した。
源氏物語:48 椎が本 (新字新仮名) / 紫式部(著)
匂宮におうみやの切にお望みになることであったから、すべてを秘密にして扱うのも苦しかった。
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
とお言いになったため、匂宮におうみやのお車に薫中納言は御同車して京を出た。山路へかかってくるにしたがって、山荘で物思いをしている恋人を多く哀れにお思いになる宮でおありになった。
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
薫からも匂宮におうみやからも春が来れば来るで、おりを過ぐさぬ手紙が送られる。例のようにたいしたことも書かれていないのであるから、話を伝えた人も、それらの内容は省いて語らなかった。
源氏物語:48 椎が本 (新字新仮名) / 紫式部(著)
下向きになってその絵を御覧になる一品いっぽんみやのおぐしが、なびいて外へもこぼれ出た片端に面影を想像して、この美しい人が兄弟でなかったならという心持ちに匂宮におうみやはなっておいでになった。
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
匂宮におうみやがああしたような、人に忘られた所にいる佳人を発見するのはおもしろいことであろう、予期以上に接近して心のかれる恋がしてみたいと、そんな空想をしておいでになることを思い
源氏物語:47 橋姫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
どんなすぐれた前生の因縁で生まれた人なのだろう。同じ花だがどんな根があって高い香の花は咲くのかと思うと梅にも敬意を表したくなるからね。梅は匂宮におうみやがお好みになる花にできていますね
源氏物語:45 紅梅 (新字新仮名) / 紫式部(著)
陽春の花盛りになって、薫は近い二条の院の桜のこずえを見やる時にも「あさぢ原主なき宿のさくら花心やすくや風に散るらん」と宇治の山荘が思いやられて恋しいままに、匂宮におうみやをお訪ねしに行った。
源氏物語:50 早蕨 (新字新仮名) / 紫式部(著)