勿躰もったい)” の例文
和助はさかずきを持った。それはそのときまで酒を待っていたことになにか意味があるとでも云いたそうな、かなり勿躰もったいぶった手つきであった。
追いついた夢 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
今更未練が出てお勢を捨るなどという事は勿躰もったいなくて出来ず、と言ッて叔母に詫言わびごとを言うも無念、あれもいやなりこれも厭なりで思案の糸筋がもつれ出し、肚のうちでは上を下へとゴッタ返えすが
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
裏には少し畑もあった、吾平が勿躰もったいないからといって、野菜を作っているのだそうである。
追いついた夢 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
ことさらに二三度呼ばして返事にも勿躰もったいをつけ、しぶしぶ二階を降りて
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)