つとめ)” の例文
道々も故意わざと平気な顔をして、往来を眺めながら、つとめて心を紛らしているうちに、馴染の町を幾つも過ぎてくるま停車場ステーションへ着いた。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
ひとり居たまう時はいつもしかなりけむ。われには笑顔見せたまわざること絶えてなかりしが、わがために慰めらるるや、さらばつとめて慰めむとてく。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
凡そかゝる人なれば益々以て倉子が知れる筈なるに露ほども其様子を見せぬのみかはつとめて其の人を押隠さんとする所を見れば倉子のためには我が所天おっとより猶お大切の人としか思われず
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)