刑部おさかべ)” の例文
刑部おさかべ老人と千賀子殿とは、まさか野馬には乗れまいな。またお前達二人などは、急いで駈けつける必要はない。後からゆっくり来られるがよい」
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
こうして着々と、まっ黒に、地を這う雲かのような甲軍二万七千余の兵は、押太鼓おしだいこを天地にとどろかせながら、祝田いわいだ刑部おさかべ引佐川いなさがわと迫って来た。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また木梨きなしかる太子ひつぎのみこの御名代として、輕部かるべを定め、大后の御名代として、刑部おさかべを定め、大后の弟田井たゐなかつ比賣の御名代として、河部かはべを定めたまひき。
だから、三方ヶ原の大勝後その附近の刑部おさかべにて新年を迎え、正月十一日刑部を発して、三河に入り野田城を囲んだ。
長篠合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
高野師直の娘刑部おさかべ姫の霊が祀られてあって、そこへ登ること相成らずと禁ぜられていた故、其後誰一人登った者もなく、もし登れば刑部明神の怒りにふれて命を失うものと
文学以前 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
「それでは松平碩寿翁せきじゅおう様で。……が、それにしてはこのような醜悪極まる勘解由店の、刑部おさかべ屋敷などへおいでなさるとは、心得ぬ儀にござりますな」
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「この二月、刑部おさかべから三州へ攻めに出て、野田城をとりつめておるうち、一夜、鉄砲で撃たれたと聞きました」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
またキナシノカルの太子の御名の記念として輕部をお定めになり、皇后樣の御名の記念として刑部おさかべをお定めになり、皇后樣の妹のタヰノナカツ姫の御名の記念として河部をお定めになりました。
「それでは松平碩寿翁様で。……が、それにしてはこのような、醜悪極まる勘解由店かげゆだなの、刑部おさかべ屋敷などへおいでなさるとは、心得ぬ儀にござりますな」
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)