切子燈籠きりこどうろう)” の例文
一様に軒先の切子燈籠きりこどうろうとなり、さらに転じては岐阜提灯ぎふちょうちんの水色となって、おまけに夏の半ばには引っ込めてしまうゆえに、いわゆる秋のあわれまでが
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
村雨がばらばらと降って止んで、切子燈籠きりこどうろうに強い風が吹いて来た、というのである。勿論夜の景色であろう。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
軒には大きい切子燈籠きりこどうろうが長い尾を力なくなびかせて、ゆう闇の中にしょんぼりと白い影を迷わせていた。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
眼の前にびっくりするような大きな切子燈籠きりこどうろうが、長い紙の裾を垂らしている。
蝙蝠 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
それは普通の形の白い切子燈籠きりこどうろうで、別に不思議もないのであるが、それが往来のほとんどまん中で、しかも土の上に据えられてあるように見えたのが、このふたりの注意をひいた。
異妖編 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
眼の前にびつくりするやうな大きな切子燈籠きりこどうろうが、長い紙のすそを垂らしてゐる。
蝙蝠 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
日が暮れても蒸し暑いので、西岡は切子燈籠きりこどうろうをかけた縁先に出て、しずかに団扇うちわをつかっていると、やがてお霜が帰って来て、お嬢さんはどこへかお出かけになりましたかと訊いた。
離魂病 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
おなじく七月十三日の午後、佛壇には精靈棚しやうりやうだなをしつらへ、軒には大いなる切子燈籠きりこどうろうをかけたり。一人の僧は佛壇の前に坐して棚經たなぎやうを讀む。このの母お時は下のかたに坐して蚊いぶしを煽ぎゐる。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)