出雲路いずもじ)” の例文
覚明房長西は法然が亡くなってから出雲路いずもじの住心房にとどこおり、諸行皆本願であるというような意見になって撰択集に背いてしまった。
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
元々、佐々木道誉なる者は、元弘げんこうの年、みかどが六波羅の獄から隠岐へ流され給うた日の出雲路いずもじまで、その御警固にあたっていた人物だ。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
奥州名取郡おうしゅうなとりのこおり笠島かさじま道祖さえは、都の加茂河原かもがわらの西、一条の北のほとりに住ませられる、出雲路いずもじ道祖さえ御娘おんむすめじゃ。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
当時とうじ筑紫路つくしじから出雲路いずもじにかけて御巡遊中ごじゅんゆうちゅう小碓命様おうすのみことさまなのでございました。
「かねて、近江ノ入道は、やさしい武士と聞いていたが……。そして、出雲路いずもじでも、みかどへたいして、情けあるお見送りをして給うたことも、ほのかに、うけたまわっていた。かたじけない」
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)