出逢頭であいがしら)” の例文
「新さん、お前さんは可哀想だね。——聴いちゃ悪いと思ったけれど、出逢頭であいがしらで、逃げることも隠れることも出来ないんだもの、みんな聴いてしまったよ」
で、一旦内へ引返ひっかえして、応急の薬剤と繃帯ほうたいとを用意して、足早に表へ出ようとする時、七兵衛父爺じじい寝惚眼ねぼけまなここすりながら裏口を遅々のそのそ出て来た。出逢頭であいがしら喫驚びっくりして
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あの男ならば、意趣や遺恨は別として、単に出逢頭であいがしらの話の行違いだけでも、ずいぶん抜く手を見せ兼ねない。嫌疑としても容疑としても、その点は相当のものなのだ。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と二人は一所に挨拶をして、上段の間を出てきまする、親仁おやじ両提りょうさげ莨入たばこいれをぶら提げながら、克明に禿頭はげあたまをちゃんと据えて、てくてくと敷居を越えて、廊下へ出逢頭であいがしら、わッと云う騒動さわぎ
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
主膳のこう言った言葉と出逢頭であいがしらに、外では駕籠屋が
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)