六二連ろくにれん)” の例文
その頃は雑誌のたぐいが極めて少数であったから、『歌舞伎新報』に六二連ろくにれんの評判記が掲載される以外に、雑誌の劇評というものは殆んど見られなかった。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
劇評では六二連ろくにれん富田砂燕とみたさえんという人がいた。この人の前には梅素玄魚という人がいた。後にこの人は楽屋白粉がくやおしろいというものをつくって売り出すような事をしたものである。
明治十年前後 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
団十郎の源蔵の花道の思入を難じたるが、これは六二連ろくにれんおだやかならずといひしことあり。友右衛門の型を引合に出されしは当らず。とにかく明治十四年春の評判記を見たまへ。
両座の「山門」評 (新字旧仮名) / 三木竹二(著)
その雛段にも連中はならんだから、魚河岸うおがしとか新場とか、大根河岸だいこんがしとか、吉原や、各地の盛り場の連中見物、その他、水魚連すいぎょれんとか、六二連ろくにれん見連けんれんといった、見巧者みごうしゃ、芝居ずきの集まった
仮名垣魯文かながきろぶんが「いろは新聞」の全紙面を花柳通信に費したのも怪しむに足りない。芝居道楽といふディレツタントの劇評家が六二連ろくにれんを組織して各座の劇評を単行本として出版したのも不思議ではない。
虫干 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)