入毛いれげ)” の例文
当世風の厚化粧入毛いれげ沢山の庇髪ひさしがみにダイヤモンドちりばめ女優好みの頬紅さしたるよりも洗髪あらいがみに湯上りの薄化粧うれしく思ふやからにはダリヤ
一夕 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
人間の頭へは決して鱗の逆に向た毛のはえる者では有りません、の様な事があってもはえた儘の毛に逆髪さかげは有ません、然るに此三本の内に一本逆毛さかげが有るとは何故でしょう即ち此一本は入毛いれげです
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
彼女が白粉とべに入毛いれげ擬造まがひの宝石とを以て、破壊の「時」と戦へる其のおもては孤城落日の悲壮美を示さずや。
夜あるき (新字旧仮名) / 永井荷風(著)